性依存症は、セックス中毒などとも呼ばれ、不特定多数の人と体の関係を持つ人、性欲が強い人を指すのではなく、ネガティブな結果になるにもかかわらず「性行為や性的な妄想が抑えられない人」をいいます。
性依存症では、自分の意思で症状をコントロールするのは難しく、男女ともにセックス依存症の人はたくさんいるのです。アメリカのミネソタ大学の調査ではアメリカ国民の約9%が「強い性的な衝動や衝迫を抑えられない経験がある」(男性で10.3%、女性では7.0%)ことを明らかにしており、日本でも診療を受けている人が多くいるのです。
性依存症では、日常的に性に関することで頭が満たされるため仕事面、パートナーとの関係性に悪影響を及ぼしてしまう恐れが高いです。
ではセックスなどに依存する性依存症になるとどうなるのか?どういった人がなりやすいのか、WHO(世界保健機関)のICD(国際疾病分類)やDSM-5(性機能障害について)をもとに詳しくお話しします。
性依存症とは?
性依存症はセックス依存症、セックス中毒とも呼ばれます。名前からも分かる通り性行為に対して依存度の高い症状を指しています。
一般的には「性嗜好障害」に分類され、強迫的性行動症にた症状となります。2018年にWHO(世界保健機関)が精神疾患と分類し「強迫的性行動症(CSBD)」という病名を認定しました。
依存する性の対象はオナニーやセックスのみではありません。「のぞき」「盗撮」「ストーカー」「痴漢」などこういった性に関係するもの全般が対象になります。
性依存症になるとどうなる?
性依存症になってしまうと性で物事を判断するなど性に関する正常な判断が出来なくなってしまうようになってしまいます。
依存症になると何よりも性に関する事項がなにより最優先となり、性欲を満たすためではなく、自身の不安や孤独、退屈、ストレスといったネガティブな感情を麻痺させるための手段として性に関する行動を起こすのです。
性依存症が重症なものになってしまうと、日常生活で性とは関係のない出来事にも脳が勘違いを起こしてしまい、路上での工事音、布団を叩く音、金属の軋む音などを聞くだけで、すぐに「誰かがセックスしている音」だと勘違いを起こし、外で誰かがしてるんじゃないかと思い込んでしまうほど幻聴が聞こえてしまう方もいます。
このような依存症になってしまうと、通常で考えればわかるような「身体的、社会的な損失」リスクがあったとしてもまともに判断ができず性衝動に抑えが効かず「やめられない」状態に陥ってしまうのですね。
どんな人が性依存症になりやすい?
性依存症になる原因は、様々な論争がありますが、日常的なストレス、幼少期での出来事が一つのキッカケとされています。
性行動を起こすことにより、人間はドーパミンやセロトニンと言った幸せ・報酬系の脳内分泌が行われ脳が快楽物質により「不安材料・ストレス」を一時的に麻痺させてくれます。
なので、日常的に強いストレス、不安や鬱状態だったりと精神的な健康状態が良くない時に性衝動での解消を脳が覚えてしまうと、より引き起こしやすいとされています。また幼少期での出来事も性衝動に関連しているとされています。
性依存症の症状チェック
性依存症の症状は様々ですが、強迫的性行動症をもとにして性依存症の特徴的を分かりやすく5つ紹介するので当てはまるものが自身でチェックしてみてください。
- 強烈かつ反復的な性的衝動または渇望の抑制の失敗
- 反復的な性行動が生活の中心となり、他の関心、活動、責任がおろそかになる
- 性行動の反復を減らす努力がたびたび失敗に終わっている
- 望ましくない結果が生じているにもかかわらず、またそこから満足が得られていないにもかかわらず、性行動を継続している
- 重大な苦悩、および個人、家族、社会、教育、職業、および他の重要な領域での機能に重大な問題が生じている
1つ当てはまったからと言って性依存症とは断定できるものではなく、正常と性依存症の境界線は曖昧です。ですが、このような状態が長期期間(6カ月以上)に渡っているのでしたら、強迫的性行動症に該当する状態だと言えます。
性欲が強くても、自身の行動リスクを考えて理解していたら抑えることはできるのですが、性衝動に抑えが効かない状態でしたら性依存症の可能性が高いことがわかります。なので、自分は絶対に大丈夫だと思うのではなく、症状をチェックして性依存症かもしれないとまずは認識することが大切ですね。
まとめ
性依存症は、アルコール依存症のように健康被害や症状が表面化しにくくデリケートな問題であり、自覚症状がありながらもオープンにしにくい背景があります。
いまだ性依存症の研究の歴史が浅く、エビデンス不足、データ不足で世界的にも議論が尽くされていないのが現状ですが、日本では性依存症に対する治療をおこなっている病院や機関もありますので、性依存症だと感じるのならまずは相談することが望ましいですね。
ICD-10(http://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/37958/9241544228_eng.pdf?sequence=8&isAllowed=y)
DSM-5(https://dsm.psychiatryonline.org/doi/book/10.1176/appi.books.9780890425596)
SAA(https://saa-recovery.org/)Sex Addicts Anonymous(SAA)は、中毒性のある性行動を止めたい人のために1977年に設立された12ステップのプログラムです。https://en.wikipedia.org/wiki/Sex_Addicts_Anonymous
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